きらりのブログ★

てづくり工房「atelier*きらり」の病弱作家YURIがお送りする、日々のきらり(…?)を綴るブログ。

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    いつからだったろう。

    気付くとそれは、けたたましく鳴く蛙の声にまじり、夜な夜な聞こえていた。

    近くではないがそれほど遠くないところから、毎晩、夜の静けさに響く、声。

    音のような声であった。

    昼間は日常の生活音に混じるのか、はたまた発信元が口を閉ざすのか、まったく聞こえない(ように感じる)


    ガソリンスタンドの誘導員かと思ったが、この辺りで24時間営業しているのはコンビニぐらいだ。夜遊びが過ぎた若者か酔っ払いがたまに空気を読まず奇声を発することもあるが、毎晩深夜からずっと、同じ人が騒ぎ続けるとは考えにくい。


    こうして考えている間も、それは確かに聞こえていた。

    言葉としては聞き取れないが常軌を逸しており、必死でなにかを訴えるような甲高い声であった。

    人の声だとおもっていたのたが、どうやら違うようだ。
    多分、認知症になり昼夜が逆転した犬…が、正しいのではないか。

    最早余命幾ばくもないそれは、この暑い夏の夜、そう遠くないどこかの家の犬小屋で、いうことを利かないよぼよぼのからだ身体に、見えない眼で闇を恐れ、孤独を恐れ、もしかしたら死を恐れ、自分を保護してくれる誰かを求め、叫んでいたのではないか。

    「怖い!」

    「誰か!」

    「助けて!」

    と。


    そして、数日の後の夜。
    気づくとそれは、聞こえなくなっていた。

    宵闇は静寂を取り戻した。
    声の主は、穏やかな世界に旅立ったのかもしれない。
    | 13:00 | ワタクシゴト(随想的な) | comments(0) | - |